ルムジェブ ® (インスリン リスプロ(遺伝子組換え))
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日本人にルムジェブ(インスリン リスプロ)を投与した際の有効性や安全性は?
1型糖尿病患者及び2型糖尿病患者を対象にした国際共同第III相試験の日本人の部分集団解析の結果は以下のとおりです。
[解説]
1型糖尿病患者1222例(日本人167例を含む)を対象にルムジェブ食事開始時投与*及び食事開始後投与**とヒューマログ食事開始時投与*を比較した国際共同第III相試験(ITRM[PRONTO-T1D]試験)及び2型糖尿病患者673例(日本人93例を含む)を対象にルムジェブ食事開始時投与*とヒューマログ食事開始時投与*を比較した国際共同第III相試験(ITRN[PRONTO-T2D]試験)にて、日本人集団における部分集団解析を実施しました。
主要評価項目である投与26週時におけるHbA1cのベースラインからの変化量(ルムジェブ食事開始時群とヒューマログ食事開始時群の比較)について、両試験ともにHbA1cのベースラインからの変化量の最小二乗平均値の差(ルムジェブ食事開始時群-ヒューマログ食事開始時群)の両側95% CIの上限は非劣性マージン0.4%を下回りました1)。
副次的評価項目である投与26週時における混合食負荷試験時の食後血糖値の上昇幅のベースラインからの変化量(ルムジェブ食事開始時群とヒューマログ食事開始時群の比較)について、ITRM(PRONTO-T1D)試験では投与26週時における食後血糖値の上昇幅の平均値は、ルムジェブ食事開始時群でヒューマログ食事開始時群と比較して食後30分から食後4時間までのすべての測定時点で統計学的に有意に小さく(ANCOVA、p<0.05)2)、ITRN(PRONTO-T2D)試験では投与26週時における食後血糖値の上昇幅の平均値は、ルムジェブ食事開始時群とヒューマログ食事開始時群の間で食後15分から食後4時間までのすべての測定時点で統計学的に有意な差は認められませんでした1) 3)。
*食事開始時投与:食事開始の0~2分前に投与
**食事開始後投与:食事開始から20分後に投与
なお、各試験における安全性情報は以下のとおりです。
ITRM(PRONTO-T1D)試験4):
・無作為割付時から後観察期間までに発現した治験薬との因果関係が否定できない有害事象は、ルムジェブ食事開始時群14.5%(9例)、ヒューマログ食事開始時群10.2%(6例)、及びルムジェブ食事開始後群10.9%(5例)に発現しました。そのうち主なものは、注射部位反応、注射部位疼痛及び頻脈(ルムジェブ食事開始時群各1例[1.6%]、ヒューマログ食事開始時群各0例[0.0%]、ルムジェブ食事開始後群各1例[2.2%])でした。
・各群における無作為割付時から投与52週時までの重症低血糖の発現率及び発現割合は以下のとおりです。
表1.重症低血糖の発現率(100人・年あたりに調整)及び発現割合(1型糖尿病患者)(日本人集団)
投与群 |
発現率 |
発現割合 |
件/100人・年 |
n(%) |
|
ヒューマログ食事開始時 (N=59) |
15.31 |
5(8.47) |
ルムジェブ食事開始時 (N=62) |
3.30 |
2(3.23) |
ルムジェブ食事開始後 (N=46) |
4.47 |
2(4.35) |
発現率は最小二乗平均値で示す。
・各群における無作為割付時から投与52週時までのすべての血糖値が確認された低血糖(血糖値70 mg/dL以下)の発現率及び発現割合は以下のとおりでした。
表2.無作為割付時から投与52週時までの低血糖(血糖値70 mg/dL以下)の発現率(1人・年あたりに調整)及び発現割合(1型糖尿病患者)(日本人集団)
投与群 |
発現率 |
発現割合 |
件/1人・年 |
n(%) |
|
ヒューマログ食事開始時 (N=59) |
86.6 |
59(100.0) |
ルムジェブ食事開始時 (N=62) |
49.1 |
62(100.0) |
ルムジェブ食事開始後 (N=46) |
93.9 |
46(100.0) |
発現率は最小二乗平均値で示す。
ITRN(PRONTO-T2D)試験5):
・無作為割付時から後観察期間までに発現した治験薬との因果関係が否定できない有害事象は、ルムジェブ食事開始時群8.5%(4例)、ヒューマログ食事開始時群4.3%(2例)に発現しました。その内訳は、ルムジェブ食事開始時群では注射部位疼痛2例(4.3%)、筋肉痛及び喘息が各1例(2.1%)であり、ヒューマログ食事開始時群では筋痙縮及び糖尿病網膜症が各1例(2.2%)でした。
・全試験期間中に、日本人集団で重症低血糖は見られませんでした。
・各群における無作為割付時から投与26週時までのすべての血糖値が確認された低血糖(血糖値70 mg/dL以下)の発現率及び発現割合は以下のとおりでした。
表3.無作為割付時から投与26週時までの低血糖(血糖値70 mg/dL以下)の発現率(1人・年あたりに調整)及び発現割合(2型糖尿病患者)(日本人集団)
投与群 |
発現率 |
発現割合 |
件/1人・年 |
n(%) |
|
ヒューマログ食事開始時 (N=46) |
26.1 |
41(89.1) |
ルムジェブ食事開始時 (N=47) |
34.1 |
45(95.7) |
発現率は最小二乗平均値で示す。
参考:
試験期間中に起こった低血糖は、以下の定義で通常の有害事象とは別で収集しています6)。
低血糖の定義
●血糖値が確認された低血糖アラート(70 mg/dL以下):
・血糖値が確認された症候性低血糖:低血糖の典型的な症状が認められる事象。
・血糖値が確認された無症候性低血糖:低血糖の典型的な症状は認められない事象。
・血糖値が確認された詳細不明の低血糖:低血糖の症状に関する情報が記録されていない事象。
●血糖値が確認された臨床的に重要な低血糖(54 mg/dL未満):
・血糖値が確認された症候性低血糖:低血糖の典型的な症状が認められる事象。
・血糖値が確認された無症候性低血糖:低血糖の典型的な症状は認められない事象。
・血糖値が確認された詳細不明の低血糖:低血糖の症状に関する情報が記録されていない事象。
●血糖値が確認できない症候性低血糖:低血糖の症状が認められるが、血糖値が測定されていない事象。
●重症低血糖:エピソード中に、被験者の精神状態が変化して自らの治療を実施できなくなったり、意識混濁又は意識消失となったり、痙攣発作の有無にかかわらず昏睡したりし、積極的な炭水化物やグルカゴンの投与などの回復処置に第三者の介助が必要になる事象。低血糖が発現している期間に血糖値の測定が行われていない場合においても、血糖値の正常化に伴って神経学的な回復が認められた場合は、その事象が低血糖(血糖値が70 mg/dL以下)により誘発されたと判断した。
●その他の低血糖
・夜間低血糖:就寝時から起床時の間に発現したすべての血糖値が確認された低血糖(重症低血糖を含む)。
・総低血糖:このカテゴリーは、すべての低血糖(血糖値が確認された低血糖、血糖値が確認できない症候性低血糖)を組み合わせた。夜間低血糖及び重症低血糖は、血糖値が確認された低血糖又は血糖値が確認できない症候性低血糖に含まれる。低血糖が上記に示しているいずれかの低血糖に複数当てはまる場合、当該事象を総低血糖として1回だけ集計した。
[引用元]
ルムジェブ申請資料概要CTD2.7.3.3.4.1(承認時評価資料)
Miura, J. et al.: Diabetes Therapy, 11(9): 2089-2104, 2020(HMN30716)
Jinnouchi, H. et al.: Diabetes Therapy, 11(9): 2075-2088, 2020(HMN30717)
ルムジェブ申請資料概要CTD2.7.4.5.12.2(承認時評価資料)
ルムジェブ申請資料概要CTD2.7.4.5.1.2(承認時評価資料)
ルムジェブ申請資料概要CTD2.7.4.1.1.3.2(承認時評価資料)
最終更新日: November 2022
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