オルミエント ® (バリシチニブ)
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<COVID-19>オルミエント(バリシチニブ)のACTT-2試験で用いたNIAID Ordinal Scale(8段階の順序尺度)と日本におけるCOVID-19の重症度分類は基準が異なるのか?
ACTT-2試験で用いたNIAID Ordinal Scale(8段階の順序尺度)における分類は、日本で用いられているCOVID-19の重症度分類(4段階の分類)とは異なる基準で分類されています。
[解説]
※本剤は、国内外の試験成績に基づいて承認されました。このため、一部国内の承認効能又は効果、用法及び用量と異なる成績が含まれています。
<新型コロナウイルス感染症:COVID-19>
日本では厚生労働省が公開している新型コロナウイルス感染症診療の手引き(第5.3版)※に以下の重症度分類が掲載されています1)。
重症度 |
酸素飽和度 |
臨床状態 |
診療のポイント |
軽症 |
SpO2≧96% |
呼吸器症状なし or 咳のみで呼吸困難なし いずれの場合であっても肺炎所見を認めない |
・多くが自然軽快するが、急速に病状が進行することもある ・リスク因子のある患者は入院とする |
中等症Ⅰ呼吸不全なし |
93%<SpO2<96% |
呼吸困難、肺炎所見 |
・入院の上で慎重に観察 ・低酸素血症があっても呼吸困難を訴えないことがある ・患者の不安に対処することも重要 |
中等症Ⅱ呼吸不全あり |
SpO2≦93% |
酸素投与が必要 |
・呼吸不全の原因を推定 ・高度な医療を行える施設へ転院を検討
|
重症 |
|
ICUに入室 or 人工呼吸器が必要 |
・人工呼吸器管理に基づく重症肺炎の2分類(L 型、H 型) ・L 型:肺はやわらかく、換気量が増加 ・H 型:肺水腫で、ECMO の導入を検討 ・L 型からH 型への移行は判定が困難 |
※新型コロナウイルス感染症診療の手引きは定期的に更新されています。最新情報は最新の手引きをご確認ください。
18歳以上のSARS-CoV-2による肺炎患者1033例(日本人1例を含む)を対象にバリシチニブ+レムデシビル群の有効性及び安全性をプラセボ+レムデシビル群と比較検討した国際共同、アダプティブ、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間試験であるACTT-2試験では、以下のNIAID Ordinal Scale(8段階の順序尺度)を用いて臨床状態を評価しており2)、日本で用いられている重症度分類(4段階の分類)とは異なる基準で分類されています。
NIAID Ordinal Scale |
臨床状態 |
OS-1 |
入院しておらず活動も制限されない |
OS-2 |
入院していないが活動が制限される及び/又は在宅での酸素補充が必要 |
OS-3 |
入院しているが酸素補充は不要‒治療の継続を必要としない |
OS-4 |
入院しているが酸素補充は不要‒治療の継続を必要とする(SARS-CoV-2感染症関連又はそれ以外) |
OS-5 |
入院中で酸素吸入が必要 |
OS-6 |
入院中で非侵襲的人工呼吸又は高流量酸素機器を使用している |
OS-7 |
入院中で侵襲的人工呼吸又はECMOによる管理を行っている |
OS-8 |
死亡 |
[引用元]
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第5.3版(診療の手引き検討委員会. 2021)
Kalil, A.C. et al. Baricitinib plus Remdesivir for Hospitalized Adults with Covid-19. N Engl J Med. 2021; 384(9):795-807.[利益相反:本試験はバリシチニブの提供に関してイーライリリー社の支援を受けました。本論文の著者のうち2名はイーライリリー社の社員です。著者にイーライリリー社より研究費の助成、コンサルタント料等を受領している者が含まれます。]
[略語]
ACTT-2 = Adaptive COVID-19 Treatment Trial 2
COVID-19 = SARS-CoV-2 による感染症
CPAP = 持続陽圧呼吸療法
ECMO = 体外式膜型人工肺NIAID = アメリカ国立アレルギー・感染症研究所
SARS-CoV-2 = 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2
最終更新日: September 2021
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