オルミエント ® (バリシチニブ)
以下は適正使用情報として、本邦における承認事項(用法・用量、適応、剤形など)以外の情報が含まれる場合がございます。薬剤の使用に際しては、製品情報ページにある最新の電子添文をご確認ください。
<COVID-19>経口投与できないCOVID-19患者にオルミエント(バリシチニブ)を投与する場合、どのように投与したらよいか?臨床試験の際にはどのように投与されていたのか?
SARS-CoV-2による肺炎患者で経口投与が困難な場合、バリシチニブ錠を懸濁させた上で経口、胃瘻、経鼻又は経口胃管での投与が可能です。臨床試験では必要に応じて粉砕、懸濁して経鼻胃管チューブにより投与されました。
解説
※本剤は、国内外の試験成績に基づいて承認されました。このため、一部国内の承認効能又は効果、用法及び用量と異なる成績が含まれています。
<新型コロナウイルス感染症:COVID-19>
オルミエント錠は、SARS-CoV-2による肺炎患者で経口投与が困難な場合に限り、懸濁させた上で経口、胃瘻、経鼻又は経口胃管での投与が可能です1。関節リウマチ、アトピー性皮膚炎の患者又はSARS-CoV-2による肺炎で経口投与可能な患者へのオルミエント錠の懸濁投与は適応外用法となり使用できません。
コップや経口用シリンジ等の容器にオルミエント1錠あたり表1に示す量の水を加え、振とうして懸濁させ速やかに投与してください。投与後は表1に示す量の水を加えて容器中に残った薬剤を投与してください2。
表1. 懸濁及び容器中の薬剤を洗い流すために必要な水量
懸濁後の投与方法 |
懸濁に必要な水量 |
容器中の薬剤を洗い流すために必要な水量 |
経口投与 |
10mL (最少5mL) |
10mL (最少5mL) |
胃瘻 |
15mL (最少10mL) |
15mL (最少10mL) |
経鼻又は経口胃管※ |
30mL |
15mL |
※小さい径のチューブでは閉塞する可能性があるため、シリンジは水平に保ち、振とうしながら注入させるなど注意が必要です2。
オルミエント錠は錠剤の状態では有害性はありません。懸濁しやすくするために錠剤を粉砕する場合は、内容物に曝露するリスクがあるため、換気付き装置や防護具等適切な対処を行ってください。粉砕されたオルミエント錠による生殖に関する有害影響は明らかではありませんが、粉末の反復曝露により受胎能又は胎児に悪影響を及ぼす可能性があることが示唆されています。また、粉砕されたオルミエント錠の長期又は反復曝露により、生殖器又は特定の標的器官(骨髄、リンパ系)の毒性が生じる可能性もあります2。
懸濁投与の方法や調製時の注意点等の詳細については適正使用ガイド(SARS-CoV-2による肺炎)をご確認ください2。
なお、オルミエント錠の粉砕・懸濁に関する情報は、SARS-CoV-2による肺炎患者で経口投与が困難な患者に使用する場合に限り参照可能です。
また、SARS-CoV-2による肺炎患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験(ACTT-2試験)では、必要に応じて粉砕、懸濁して経鼻胃管チューブを用いて投与されていました3,4。
※本剤の用法及び用量<SARS-CoV-2による肺炎>は「通常、成人にはレムデシビルとの併用においてバリシチニブとして4 mgを1日1回経口投与する。なお、総投与期間は14日間までとする。」です。経口投与が可能になった場合には、懸濁せず速やかに通常通りの経口投与を行うようにしてください。
[参考資料]
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オルミエント 添付文書
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オルミエント 適正使用ガイド(SARS-CoV-2による肺炎)
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Kalil, A.C. et al. Baricitinib plus Remdesivir for Hospitalized Adults with Covid-19. N Engl J Med. 2021; 384(9):795-807.[利益相反:本試験はバリシチニブの提供に関してイーライリリー社の支援を受けました。本論文の著者のうち2名はイーライリリー社の社員です。著者にイーライリリー社より研究費の助成、コンサルタント料等を受領している者が含まれます。]
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オルミエント 承認時評価資料
[略語]
ACTT-2 = Adaptive COVID-19 Treatment Trial 2
COVID-19 = SARS-CoV-2による感染症
SARS-CoV-2 = 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2
◆Lillymedical.jp◆
最終更新日: 2021年4月
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