オルミエント ® (バリシチニブ)
以下は適正使用情報として、本邦における承認事項(用法・用量、適応、剤形など)以外の情報が含まれる場合がございます。薬剤の使用に際しては、製品情報ページにある最新の電子添文をご確認ください。
<COVID-19>オルミエント(バリシチニブ)のACTT-2試験において、ベースラインの疾患の重症度によって有効性に違いはあるのか?
ACTT-2試験におけるベースラインの疾患重症度別の有効性の結果は以下のとおりです。
[解説]
※本剤は、日本を含む第Ⅲ相国際共同試験の成績に基づいて承認されました。このため、一部国内の承認効能又は効果、用法及び用量と異なる成績が含まれています。
<新型コロナウイルス感染症:COVID-19>
ACTT-2試験のデザイン
イーライリリー・アンド・カンパニーは、アメリカ国立衛生研究所 (NIH)傘下のアメリカ国立アレルギー・感染症研究所(National Institute of Allergy and Infectious Diseases, NIAID)と、NIAIDが主導するAdaptive COVID-19 Treatment Trial2 (ACTT-2試験)においてバリシチニブを投与群の1つとして試験を行うことに合意しました1。
ACTT-2試験の試験デザイン及び患者のベースライン特性を、末尾の添付資料表6及び表7に示します。
ACTT-2試験におけるベースラインの疾患重症度別の有効性の結果
ACTT-2試験の治験実施計画書に従って、NIAID順序尺度で定義される以下のベースラインの疾患重症度に基づき、層別無作為化を行いました1。
・中等症と定義するOS-4及び5
・重症と定義するOS-6及び7
ACTT-2試験で使用したNIAID順序尺度の詳細は末尾の添付資料(表8)のとおりです1。
主要評価項目:無作為化後28日時点での回復までの期間
ACTT-2試験における主要評価項目は、無作為化後28日時点での回復までの期間であり、回復は患者がNIAID順序尺度において以下の3つのカテゴリーのいずれかを達成した最初の日と定義されました1。
-
入院しておらず活動も制限されない(OS-1)
-
入院していないが活動が制限される及び/又は在宅での酸素補充が必要(OS-2)
-
入院しているが酸素補充は不要-治療の継続を必要としない(OS-3)
回復までの期間の中央値は、バリシチニブとレムデシビルの併用投与を受けた群(以下、BARI+RDV群) で7日(95%CI:6.0, 8.0日)、プラセボとレムデシビルの投与を受けた群(以下、PBO+RDV群 )で8日(95%CI:7.0, 9.0日)であり、PBO+RDV群に対するBARI+RDV群の優越性が検証されました(ハザード比1.15、95%CI:1.00, 1.31、p=0.047、層別log-rank検定)1,2。
また、回復までの期間をベースラインのNIAID順序尺度別に評価した結果、ベースラインのNIAID順序尺度が6の患者集団では、回復までの期間がBARI+RDV群で10日、PBO+RDV群で18日でした(ハザード比1.51、95%CI:1.10, 2.08)。ベースラインのNIAID順序尺度別の回復までの期間を表1に示します2。
表 1. ベースラインのNIAID順序尺度別の回復までの期間(サブグループ解析)2
ベースラインにおけるNIAID順序尺度 |
投与群 |
n |
中央値 (日) |
95%CI |
HRa (95%CI) |
OS-7注):入院中で侵襲的人工呼吸又はECMOによる管理を行っている |
BARI+RDV (N=54) |
22 |
NE |
25, NE |
1.08 (0.59, 1.97) |
PBO+RDV (N=57) |
21 |
NE |
26, NE |
||
OS-6注):入院中で非侵襲的人工呼吸又は高流量酸素機器を使用している |
BARI+RDV (N=103) |
82 |
10 |
9, 13 |
1.51 (1.10, 2.08) |
PBO+RDV (N=113) |
73 |
18 |
13, 21 |
||
OS-5注):入院中で酸素吸入が必要 |
BARI+RDV (N=288) |
262 |
5 |
5, 6 |
1.17 (0.98, 1.39) |
PBO+RDV (N=276) |
243 |
6 |
5, 6 |
||
OS-4注):入院しているが酸素補充は不要-治療の継続を必要とする(SARS-CoV-2感染症関連又はそれ以外) |
BARI+RDV (N=70) |
67 |
5 |
4, 6 |
0.88 (0.62, 1.23) |
PBO+RDV (N=72) |
69 |
4 |
4, 6 |
略語:BARI = バリシチニブ、RDV = レムデシビル、PBO = プラセボ、 HR = ハザード比、ECMO = 体外式膜型人工肺、CI = 信頼区間
a重症度(中等症、重症)を層別因子とした層別Cox比例ハザードモデル、重症度別及び順序尺度別の結果はCox比例ハザードモデル
注:ベースラインにおける実際の順序尺度に基づく結果。
N = Number of subjects in the specified subgroup category, treatment group and analysis population, with data
n = number of recovered subjects
NE = Not Estimated
副次評価項目:無作為化後14日時点での8段階の順序尺度に基づく臨床状態
無作為化後14日時点での8段階の順序尺度に基づく臨床状態の比例オッズ比(95%CI)は1.26(1.01,1.57)であり、臨床状態がBARI+RDV群でPBO+RDV群と比較して有意に改善しました〔p=0.044、重症度(中等症、重症)を共変量とした比例オッズモデル、多重性を調整していない比較〕1,2。
ベースラインのNIAID順序尺度が6の患者集団では、BARI+RDV群でPBO+RDV群と比較してNIAID順序尺度改善のオッズ比が2.25でした(95%CI:1.39, 3.64)1,2。べースラインのNIAID順序尺度別の結果を表2-1及び表2-2に示します2。
表2-1. 無作為化後14日でのベースラインのNIAID順序尺度別の臨床状態スコア2
|
全体 |
サブグループ解析 |
||||||||
OS-4注):
入院しているが |
OS-5注):
入院中で |
OS-6注): 入院中で非侵襲的人工呼吸又は高流量酸素機器を使用している |
OS-7注): 入院中で侵襲的人工呼吸又はECMOによる 管理を行っている |
|||||||
15日目(±2日)時点での順序尺度、 |
PBO + RDV |
BARI + RDV |
PBO + RDV |
BARI + RDV |
PBO + RDV |
BARI + RDV |
PBO + RDV |
BARI + RDV |
PBO + RDV |
BARI + RDV |
N=518 |
N=515 |
N=72 |
N=70 |
N=276 |
N=288 |
N=113 |
N=103 |
N=57 |
N=54 |
|
OS-1 |
165 (31.9) |
177 (34.4) |
44 (61.1) |
33 (47.1) |
101 (36.6) |
114 (39.6) |
17 (15.0) |
27 (26.2) |
3 (5.3) |
3 (5.6) |
OS-2 |
163 (31.5) |
177 (34.4) |
20 (27.8) |
25 (35.7) |
115 (41.7) |
120 (41.7) |
24 (21.2) |
30 (29.1) |
4 (7.0) |
2 (3.7) |
OS-3 |
3 (0.6) |
8 (1.6) |
2 (2.8) |
5 (7.1) |
1 (0.4) |
2 (0.7) |
0 (0.0) |
0 (0.0) |
0 (0.0) |
1 (1.9) |
OS-4 |
18 (3.5) |
31 (6.0) |
6 (8.3) |
7 (10.0) |
7 (2.5) |
14 (4.9) |
3 (2.7) |
7 (6.8) |
2 (3.5) |
3 (5.6) |
OS-5 |
50 (9.7) |
43 (8.3) |
0 (0.0) |
0 (0.0) |
27 (9.8) |
18 (6.2) |
20 (17.7) |
15 (14.6) |
3 (5.3) |
10 (18.5) |
OS-6 |
19 (3.7) |
20 (3.9) |
0 (0.0) |
0 (0.0) |
1 (0.4) |
9 (3.1) |
16 (14.2) |
7 (6.8) |
2 (3.5) |
4 (7.4) |
OS-7 |
83 (16.0) |
48 (9.3) |
0 (0.0) |
0 (0.0) |
19 (6.9) |
8 (2.8) |
28 (24.8) |
15 (14.6) |
36 (63.2) |
25 (46.3) |
OS-8 |
17 (3.3) |
11 (2.1) |
0 (0.0) |
0 (0.0) |
5 (1.8) |
3 (1.0) |
5 (4.4) |
2 (1.9) |
7 (12.3) |
6 (11.1) |
略語:BARI = バリシチニブ、PBO = プラセボ、RDV = レムデシビル
注:ベースラインにおける実際の順序尺度に基づく結果。
表2-2. 無作為化後14日でのNIAID順序尺度に基づく臨床状態の比例オッズ比2
ベースラインにおけるNIAID 順序尺度 |
全体 |
サブグループ解析 |
||||||||
OS-4注):
入院しているが |
OS-5注):
入院中で |
OS-6注): 入院中で非侵襲的人工呼吸又は高流量酸素機器を使用している |
OS-7注): 入院中で侵襲的人工呼吸又はECMOによる 管理を行っている |
|||||||
PBO + RDV |
BARI + RDV |
PBO + RDV |
BARI + RDV |
PBO + RDV |
BARI + RDV |
PBO + RDV |
BARI + RDV |
PBO + RDV |
BARI + RDV |
|
N=518 |
N=515 |
N=72 |
N=70 |
N=276 |
N=288 |
N=113 |
N=103 |
N=57 |
N=54 |
|
オッズ比a (95%CI) |
1.26(1.01, 1.57)、 p=0.044 |
0.58(0.31, 1.10) |
1.19(0.88, 1.62) |
2.25(1.39, 3.64) |
1.67(0.82, 3.42) |
略語:BARI = バリシチニブ、PBO = プラセボ、RDV = レムデシビル
注:ベースラインにおける実際の順序尺度に基づく結果。
a重症度(中等症、重症)を共変量とした比例オッズモデル
また、ベースラインのNIAID順序尺度が5~7の患者集団では、BARI+RDV群でPBO+RDV群と比較して改善が認められた患者が多く、悪化した患者は少ないことが示されました。ベースラインのNIAID順序尺度が6及び7の患者集団で悪化した患者が少ないことが示されました(図 1)。
図 1. 無作為化後14日でのベースラインのNIAID順序尺度別のShift Bar Plot(ITT集団:サブグループ解析)2
副次評価項目:無作為化後14日時点及び28日時点での全死亡率
ACTT-2試験は、死亡率の群間差を検出するようにデザインされていません2。また、BARI+RDV群において、1例治験薬投与前の死亡が認められました。
無作為化後28日時点での死亡率(Kaplan-Meier法による推定値)は、BARI+RDV群で 5.1%、PBO+RDV群で 7.8%でした(ハザード比0.65、95%CI:0.39, 1.09)1,2。
ベースラインの順序尺度が5の患者集団では、29日目までの死亡率(Kaplan-Meier法による推定値)は、BARI+RDV群で1.9%、PBO+RDV群で4.7%であり、ベースラインの順序尺度が6の患者集団では、29日目までの死亡率(Kaplan-Meier法による推定値)は、BARI+RDV群で7.5%、PBO+RDV群で12.9%でした。表3に、無作為化後14日時点及び28日時点での死亡率のデータを示します2。
表 3. ACTT-2試験における投与群別の全死因死亡の要約2
|
全体 |
サブグループ解析 |
|||||||||
中等症 |
重症 |
||||||||||
OS-4注):
入院しているが |
OS-5注):
入院中で |
OS-6注):
入院中で非侵襲的 人工呼吸又は |
OS-7注): 入院中で侵襲的人工 呼吸又はECMOによる管理を行っている |
||||||||
PBO
+ RDV |
BARI
+ RDV |
PBO
+ RDV |
BARI
+ RDV |
PBO
+ RDV |
BARI
+ RDV |
PBO
+ RDV |
BARI
+ RDV |
PBO
+ |
BARI
+ RDV |
||
無作為化後14日時点の死亡率 |
|||||||||||
14日時点の ハザード比 (95%CI) |
0.55 (0.23, 1.29) p=0.161 |
1.00 (1.00, 1.00) |
0.73 (0.16, 3.26) |
0.21 (0.02, 1.80) |
0.69 (0.19, 2.44) |
||||||
14日時点の 死亡者数 |
15 |
8 |
0 |
0 |
4 |
3 |
5 |
1 |
6 |
4 |
|
死亡率a %(95%CI) |
3.0 |
1.6 |
0 |
0 |
1.5 |
1.1 |
4.6 |
1.0 |
11.3 |
7.6 |
|
無作為化後28日時点の死亡率 |
|||||||||||
28日時点の ハザード比(95%CI) |
0.65 (0.39, 1.09) p=0.102 |
1.00 (1.00, 1.00) |
0.40 (0.14, 1.14) |
0.55 (0.22, 1.38) |
1.00 (0.45, 2.22) |
||||||
28日時点の死亡者数 |
37 |
24 |
0 |
0 |
12 |
5 |
13 |
7 |
12 |
12 |
|
死亡率a %(95%CI) |
7.8 |
5.1 |
0 |
0 |
4.7 |
1.9 |
12.9 |
7.5 |
22.6 |
23.1 |
略語:BARI = バリシチニブ、PBO = プラセボ、RDV = レムデシビル、CI = 信頼区間、NE = Not Estimated
注:無作為化時に層別化に使用した疾患の重症度に基づく。
a Kaplan-Meier法による無作為化後14日時点又は28日時点の死亡率の推定値
HR is the ratio of the hazard of death in each treatment group estimated from the stratified Cox model. The ratio is BARI+RDV to PBO+RDV.
層別log-rank検定
OS-4の患者集団について
ベースラインのNIAID順序尺度別の結果は表 1、表2、表3及び図1のとおりであり、ベースラインの順序尺度が4〔入院しているが酸素補充は不要‒治療の継続を必要とする(SARS-CoV-2感染症関連又はそれ以外)〕の患者集団ではレムデシビルに対するバリシチニブの上乗せ効果は確認されなかったことから、当該患者集団に対するバリシチニブの投与は推奨されず、バリシチニブの効能又は効果は「SARS-CoV-2による肺炎(ただし、酸素吸入を要する患者に限る)」と設定されました3。
ACTT-2試験における有害事象
有害事象の重症度グレード
ACTT-2試験では、Division of AIDS(DAIDS)Table for Grading the Severity of Adult and Pediatric Adverse Eventsを用いて、有害事象及び重篤な有害事象の重症度を評価しました。グレード2~5は以下のとおりです2。
-
グレード2:中等度
-
グレード3:高度
-
グレード4:生命を脅かす可能性のある事象
-
グレード5:有害事象に関連するすべての死亡はグレード5に分類
ACTT-2試験において収集された有害事象
COVID-19の症状及び重症度を考慮し、有害事象についてはグレード3又は4の事象を収集しました。また、治験薬との関連があると判断されたグレード2以上の薬剤関連過敏症反応、グレードを問わない静脈血栓塞栓関連事象を収集しました2。
ACTT-2試験における有害事象の概要
ACTT-2試験における各群の有害事象の概要を表4に、各群の主な重篤な有害事象を表5に示します。
なお、重篤な事象とは以下と定義しました2。
・ 死亡
・ 生命を脅かすもの
・ 入院又は入院の延長
・ 永続的又は顕著な障害・機能不全に陥るもの
・ 先天異常・先天性欠損を来すもの
表 4. ACTT-2試験のAs-Treated集団における有害事象2
|
PBO
+ RDV |
BARI
+ RDV |
グレード3又は4の有害事象 |
238 (47) |
207 (41) |
死亡に至った有害事象 |
6(31) |
19(4) |
重篤な有害事象 |
103 (20) |
77 (15) |
投与中止に至った有害事象 |
59 (12) |
34 (7) |
静脈血栓塞栓症 肺塞栓症 |
16 (3) 2(0.4) |
21 (4) 5(1) |
n(%)
同一患者に同一有害事象が複数回発現した場合は1例として集計。
表 5. ACTT-2試験のAs-Treated集団におけるいずれかの投与群で5例以上に発現した
重篤な有害事象2
|
PBO
+ RDV |
BARI
+ RDV |
||
例数 |
% |
例数 |
% |
|
呼吸不全 |
37 |
7.3 |
24 |
4.7 |
急性呼吸不全 |
9 |
1.8 |
16 |
3.2 |
急性腎障害 |
11 |
2.2 |
5 |
1.0 |
低血圧 |
5 |
1.0 |
5 |
1.0 |
肺塞栓症 |
1 |
0.2 |
5 |
1.0 |
急性呼吸窮迫症候群 |
9 |
1.8 |
4 |
0.8 |
敗血症性ショック |
8 |
1.6 |
4 |
0.8 |
呼吸窮迫 |
6 |
1.2 |
4 |
0.8 |
肺炎 |
8 |
1.6 |
2 |
0.4 |
多臓器機能不全症候群 |
6 |
1.2 |
1 |
0.2 |
腎不全 |
5 |
1.0 |
0 |
0.0 |
ACTT-2試験において治験薬との関連ありと判断された死亡に至った有害事象はありませんでした2。
バリシチニブの効能又は効果(抜粋)
○SARS-CoV-2による肺炎(ただし、酸素吸入を要する患者に限る)
バリシチニブの効能又は効果に関連する注意(抜粋)
〈SARS-CoV-2による肺炎〉
5.5 酸素吸入、人工呼吸管理又は体外式膜型人工肺(ECMO)導入を要する患者を対象に入院下で投与を行うこと。[17.1.9参照]
バリシチニブの用法及び用量(抜粋)
〈SARS-CoV-2による肺炎〉
通常、成人にはレムデシビルとの併用においてバリシチニブとして4mgを1日1回経口投与する。なお、総投与期間は14日間までとする。
バリシチニブの用法及び用量に関連する注意(抜粋)
7.8 中等度の腎機能障害のある患者には、2mgを1日1回経口投与する。重度の腎機能障害(15≦eGFR<30mL/分/1.73m2)がある患者に対して治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合には、下表を参考に投与することができる。[2.9、9.2.2-9.2.5、16.6.1参照]
腎機能障害の程度 |
推算糸球体ろ過量 |
投与量 |
正常又は軽度 |
eGFR≧60 |
4mgを1日1回投与 |
中等度 |
30≦eGFR<60 |
2mgを1日1回投与 |
重度 |
15≦eGFR<30 |
2mgを48時間ごとに 1回投与(投与回数は最大7回) |
eGFR<15 |
投与しない |
レムデシビルの効能又は効果
SARS-CoV-2による感染症
レムデシビルの効能又は効果に関連する注意
臨床試験等における主な投与経験を踏まえ、SARS-CoV-2による肺炎を有する患者を対象に投与を行うこと。[17.1.1 参照]
レムデシビルの用法及び用量
通常、成人及び体重40kg以上の小児にはレムデシビルとして、投与初日に200mgを、投与2日目以降は100mgを1日1回点滴静注する。
通常、体重3.5kg以上40kg未満の小児にはレムデシビルとして、投与初日に5mg/kgを、投与2日目以降は2.5mg/kgを1日1回点滴静注する。
なお、総投与期間は10日までとする。
レムデシビルの用法及び用量に関連する注意(抜粋)
7.2 目安として、5日目まで投与し、症状の改善が認められない場合には10日目まで投与する。
[引用元]
-
Kalil, A.C. et al. Baricitinib plus Remdesivir for Hospitalized Adults with Covid-19. N Engl J Med. 2021; 384(9):795-807.[利益相反:本試験はバリシチニブの提供に関してイーライリリー社の支援を受けました。本論文の著者のうち2名はイーライリリー社の社員です。著者にイーライリリー社より研究費の助成、コンサルタント料等を受領している者が含まれます。]
-
オルミエント 申請資料概要 (ACTT-2試験) (承認時評価資料)
-
オルミエント 審査報告書(SARS-CoV-2による肺炎)
[略語]
ACTT-2 = Adaptive COVID-19 Treatment Trial 2
BARI = バリシチニブ
CI = 信頼区間
COVID-19 = SARS-CoV-2による感染症
DVT = 深部静脈血栓症
ECMO = 体外式膜型人工肺
NIH = アメリカ国立衛生研究所
NIAID = アメリカ国立アレルギー・感染症研究所
OS = 順序尺度
PBO = プラセボ
PE = 肺塞栓症
RDV = レムデシビル
SAP = 統計解析計画書
SARS-CoV-2 = 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2
SpO2 = 経皮的動脈血酸素飽和度
[添付資料]
表 6. NIAIDが主導するCOVID-19に対するアダプティブデザイン試験(ACTT-2試験)a 1,2
ACTT-2 多施設共同第III相試験 (NCT04401579)1 |
|
実施医療機関 |
78施設(日本、米国ほか)。 |
デザイン |
無作為化、二重盲検、プラセボ対照、アダプティブデザイン |
目的 |
SARS-CoV-2による感染症(COVID-19)と診断された成人の入院患者を対象にバリシチニブ+レムデシビル群の有効性及び安全性をプラセボ+レムデシビル群と比較検討する。 |
対象 |
18歳以上のSARS-CoV-2による肺炎患者1033例 |
方法 |
18歳以上のSARS-CoV-2による肺炎患者1033例を1:1の割合で以下の並行投与群に無作為割付
レムデシビルは、投与初日に200mgを、翌日以降は10日目まで又は退院まで100mgを1日1回静脈内投与。バリシチニブは、入院期間中に4 mg(2 mg錠を2錠)を14日間又は退院まで1日1回経口投与した(又は必要に応じて粉砕し、懸濁して経鼻胃管チューブから投与)。 |
主な選択基準 |
|
主要評価項目 |
|
副次評価項目 |
|
解析計画 |
有効性評価項目の解析をITT集団(無作為化されたすべての患者)及びAs-Treated集団(無作為化されたすべての患者のうち、バリシチニブ又はプラセボを投与された患者)を用いて実施し、ITT集団を用いた解析を主要な解析とした。 <主要SAP>
主要評価項目である回復までの期間について、バリシチニブ+レムデシビル群のプラセボ+レムデシビル群に対する優越性を検証した。ベースラインの疾患の重症度(中等症又は重症)*を層とした層別log-rank検定を実施した。患者が無作為化後28日以前に回復せずに死亡した場合は、回復までの期間の解析では28日で打ち切りとした。
*無作為化時に層別化に使用した重症度を解析に用いた。 |
a Other study details including exclusion criteria and secondary outcomes are available at www.ClinicalTrials.gov.
表 7. ACTT-2試験における患者のベースライン特性及び疾患活動性2
特性a |
全患者 (N= 1033) |
PBO + RDV (N=518) |
BARI + RDV (N=515) |
平均年齢、歳(SD) |
55.4 (15.7) |
55.8 (16.0) |
55.0 (15.4) |
40歳未満 |
173 (16.7) |
86 (16.6) |
87 (16.9) |
40~64歳 |
555 (53.7) |
274 (52.9) |
281 (54.6) |
65歳以上 |
305 (29.5) |
158 (30.5) |
147 (28.5) |
性別 |
|||
男性 |
652 (63.1) |
333 (64.3) |
319 (61.9) |
女性 |
381 (36.9) |
185 (35.7) |
196 (38.1) |
人種又は民族b |
|||
アメリカ先住民又はアラスカ先住民 |
10 (1.0) |
8 (1.5) |
2 (0.4) |
アジア人 |
101 (9.8) |
52 (10.0) |
49 (9.5) |
ハワイ先住民又はその他の太平洋諸島住民 |
11 (1.1) |
7 (1.4) |
4 (0.8) |
黒人又はアフリカ系アメリカ人 |
156 (15.1) |
79 (15.3) |
77 (15.0) |
白人 |
496 (48.0) |
245 (47.3) |
251 (48.7) |
不明 |
259 (25.1) |
127 (24.5) |
132 (25.6) |
民族b |
|||
非ヒスパニック系又はラテン系 |
486 (47.0) |
240 (46.3) |
246 (47.8) |
ヒスパニック系又はラテン系 |
531 (51.4) |
268 (51.7) |
263 (51.1) |
報告なし |
4 (0.4) |
2 (0.4) |
2 (0.4) |
不明 |
12 (1.2) |
8 (1.5) |
4 (0.8) |
地域/国 |
|||
アジア |
67 (6.5) |
34 (6.6) |
33 (6.4) |
欧州 |
13 (1.3) |
7 (1.4) |
6 (1.2) |
北米 |
953 (92.3) |
477 (92.1) |
476 (92.4) |
平均BMI、kg/m2(SD) |
32.2 (8.3) |
32.3 (8.4) |
32.2 (8.2) |
症状発現から無作為割付までの期間の中央値、日(Min, Max) |
n=1017 8.0 (0, 35) |
n=508 8.0 (1, 32) |
n=509 8.0 (0, 35) |
疾患重症度 |
|||
中等症 |
706 (68.3) |
348 (67.2) |
358 (69.5) |
重症 |
327 (31.7) |
170 (32.8) |
157 (30.5) |
順序尺度のスコアc |
|||
OS-4:入院しているが酸素補充は不要-治療の継続を必要とする |
142 (13.7) |
72 (13.9) |
70 (13.6) |
OS-5:入院中で酸素吸入が必要 |
564 (54.6) |
276 (53.3) |
288 (55.9) |
OS-6:入院中で非侵襲的人工呼吸又は高流量酸素機器を使用 |
216 (20.9) |
113 (21.8) |
103 (20.0) |
OS-7:入院中で侵襲的人工呼吸又はECMOによる管理を行っている |
111 (10.7) |
57 (11.0) |
54 (10.5) |
合併症の要約 |
|||
なし |
155 (15.0) |
91 (17.6) |
64 (12.4) |
1 |
270 (26.1) |
122 (23.6) |
148 (28.7) |
2以上 |
569 (55.1) |
285 (55.0) |
284 (55.1) |
不明 |
39 (3.8) |
20 (3.9) |
19 (3.7) |
合併症 |
|||
喘息 |
97 (9.4) |
44 (8.5) |
53 (10.3) |
癌 |
37 (3.6) |
17 (3.3) |
20 (3.9) |
心臓弁膜症 |
22 (2.1) |
12 (2.3) |
10 (1.9) |
慢性腎臓病 |
64 (6.2) |
33 (6.4) |
31 (6.0) |
慢性肝疾患 |
28 (2.7) |
15 (2.9) |
13 (2.5) |
長期酸素療法 |
17 (1.6) |
9 (1.7) |
8 (1.6) |
慢性呼吸器疾患 |
69 (6.7) |
30 (5.8) |
39 (7.6) |
凝固障害 |
7 (0.7) |
4 (0.8) |
3 (0.6) |
うっ血性心不全 |
62 (6.0) |
31 (6.0) |
31 (6.0) |
冠動脈疾患 |
101 (9.8) |
51 (9.8) |
50 (9.7) |
1型糖尿病 |
10 (1.0) |
5 (1.0) |
5 (1.0) |
2型糖尿病 |
370 (35.8) |
175 (33.8) |
195 (37.9) |
高血圧 |
522 (50.5) |
264 (51.0) |
258 (50.1) |
免疫不全症(後天性又は先天性) |
30 (2.9) |
13 (2.5) |
17 (3.3) |
肥満 |
567 (54.9) |
272 (52.5) |
295 (57.3) |
DVT又はPEの既往 |
22 (2.1) |
11 (2.1) |
11 (2.1) |
略語:BMI = 体格指数、BARI = バリシチニブ、RDV = レムデシビル、PBO = プラセボ、 DVT = 深部静脈血栓症、PE = 肺塞栓症、SD = 標準偏差
注:順序尺度のカテゴリーに関する詳細を添付資料に示す。
a 特に指定のない限り、n(%)として報告されたデータ。
b人種及び民族集団は患者から報告された。
cカテゴリー4及び5は中等症、カテゴリー6及び7は重症と定義する。
表 8. NIAID順序尺度2
|
臨床状態 |
OS-1 |
入院しておらず活動も制限されない |
OS-2 |
入院していないが活動が制限される及び/又は在宅での酸素補充が必要 |
OS-3 |
入院しているが酸素補充は不要‒治療の継続を必要としない |
OS-4 |
入院しているが酸素補充は不要‒治療の継続を必要とする(SARS-CoV-2感染症関連又はそれ以外) |
OS-5 |
入院中で酸素吸入が必要 |
OS-6 |
入院中で非侵襲的人工呼吸又は高流量酸素機器を使用している |
OS-7 |
入院中で侵襲的人工呼吸又はECMOによる管理を行っている |
OS-8 |
死亡 |
略語:ECMO = 体外式膜型人工肺、SARS-CoV-2 = 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2
最終更新日: 2022年1月
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