レイボー ® (ラスミジタンコハク酸塩)
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レイボー(ラスミジタン)の臨床試験における「傾眠」の発現機序、発現状況、対処法は?
ラスミジタンの国内外の臨床試験における傾眠の発現割合は、SPARTAN(LAHK)試験及びSAMURAI(LAHJ)試験の併合解析では5.5%、MONONOFU(LAIH)試験では19.3%でした。発現機序については、ラスミジタンの中枢移行性による中枢神経系への影響が考えられます。 傾眠は多くの場合、軽度で一過性ですが、症状がつらい場合は無理をせず安静にし、気になる症状があれば医師又は薬剤師に相談するようご指導ください。
[解説]
「傾眠」の発現機序、発現状況(発現頻度、発現時期、持続時間)、対処法は、以下の通りです。
《発現機序》
ラスミジタンによる傾眠の発現機序については、三叉神経系や視床、大脳皮質の神経細胞やシナプスに発現しているセロトニン1F受容体の脳の神経細胞への発現が認められていること、およびラスミジタンの中枢移行性から1-4)、中枢神経系への影響によるものと考えられますが、明確な発現機序については不明です。
《発現状況(発現頻度、発現時期、持続時間)》
◆発現頻度
片頭痛患者を対象とした外国第III相臨床試験SPARTAN(LAHK)試験及びSAMURAI(LAHJ)試験の併合解析における、全ラスミジタン群での傾眠の発現割合は5.5%(175例)でした(表1)5)。
また、片頭痛患者を対象とした国内第II相臨床試験MONONOFU(LAIH)試験における、全ラスミジタン群での傾眠の発現割合は19.3%(92例)でした(表2)6)。
なお、「傾眠」について、実際に報告された事象名で多かったものは「眠気」でした7)。
表1)TEAEの発現割合(安全性解析対象集団)[SPARTAN(LAHK)試験及びSAMURAI(LAHJ)試験の併合解析]5)
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ラスミジタン50mg群 (n = 654) |
ラスミジタン100mg群 (n = 1265) |
ラスミジタン200mg群 (n = 1258) |
全ラスミジタン群 (n = 3177) |
傾眠 |
35例 (5.4%) |
65例 (5.1%) |
75例 (6.0%) |
175例 (5.5%) |
MedDRA version 21.0
表2)TEAEの発現割合(安全性解析対象集団)[MONONOFU(LAIH)試験]6)
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ラスミジタン50mg群 (n = 87) |
ラスミジタン100mg群 (n = 208) |
ラスミジタン200mg群 (n = 182) |
全ラスミジタン群 (n = 477) |
傾眠 |
7例 (8.0%) |
44例 (21.2%) |
41例 (22.5%) |
92例 (19.3%) |
MedDRA/J version 23.0
◆重症度
SPARTAN(LAHK)試験及びSAMURAI(LAHJ)試験の併合解析において、傾眠を発現した症例の最大重症度は、軽度が62.9%(110/175例)、中等度32.6%(57/175例)、高度4.6%(8/175例)でした。
◆発現時期、持続時間
SPARTAN(LAHK)試験及びSAMURAI(LAHJ)試験の併合解析における、全ラスミジタン群での傾眠の発現までの時間(中央値)は0.7時間、傾眠の持続時間(中央値)は3.9時間でした(表3)5)。
また、MONONOFU(LAIH)試験における、全ラスミジタン群での傾眠の発現までの時間(中央値)は0.9時間、傾眠の持続時間(中央値)は3.3時間でした(表4)6)。
表3)TEAE発現までの時間及びTEAEの持続時間(安全性解析対象集団)[SPARTAN(LAHK)試験及びSAMURAI(LAHJ)試験の併合解析]5)
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ラスミジタン50mg群 |
ラスミジタン100mg群 |
ラスミジタン200mg群 |
全ラスミジタン群 |
発現までの時間の中央値(時間) |
||||
傾眠 |
0.75 |
0.70 |
0.65 |
0.70 |
持続時間の中央値(時間) |
||||
傾眠 |
2.85 |
3.80 |
4.00 |
3.90 |
表4)TEAE発現までの時間及びTEAEの持続時間(安全性解析対象集団)[MONONOFU(LAIH)試験]6)
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ラスミジタン50mg群 |
ラスミジタン100mg群 |
ラスミジタン200mg群 |
全ラスミジタン群 |
発現までの時間の中央値(時間) |
||||
傾眠 |
1.6 (0.9-2.2) |
0.9 (0.5-1.6) |
0.8 (0.5-1.4) |
0.9 (0.5-1.6) |
持続時間の中央値(時間) |
||||
傾眠 |
3.0 (2.0-3.5) |
3.5 (2.0-6.6) |
3.2 (2.0-5.0) |
3.3 (2.0-5.8) |
中央値(第1四分位数-第3四分位数)
《対処法》
予期しない有害事象に対して不安を感じる患者も多いため、患者には事前に傾眠などがあらわれる可能性があることをご説明ください7)。
また、患者には、症状がつらい場合は無理をせず安静にするようご説明のうえ、気になる症状があれば医師又は薬剤師に相談するようご指導ください7)。
有害事象の程度が強い場合など、より良好な忍容性が必要となる場合は、次回処方時に50mgに減量するなどの投与量の調整をご検討ください7)。
《有害事象の定義》
有害事象(TEAE) |
治験薬投与後48時間以内の有害事象。 |
重篤な有害事象(TE-SAE) |
治験薬投与後48時間以内の重篤な有害事象。 |
有害事象(AE) |
割り付け後、試験完了までの期間のすべての有害事象。 |
[引用元]
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Rubio-Beltrán, E. et al.:Pharmacol Ther, 186, 88, 2018(CNS31629)
-
Clemow, DB. et al.:J Headache Pain, 21, 71, 2020(CNS31603)
-
Kovalchin, J. et al.:Cephalalgia, 36, 103, 2016(CNS31631)
-
Labastida-Ramírez, A. et al.:Pain, 161, 1092, 2020(CNS31632)
-
レイボー申請資料概要(CTD表2.7.4.2-7、2.7.4.2.1.2.1、2.7.4.1.1.2.2)(承認時評価資料)
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レイボー申請資料概要(CTD表2.7.4.2-20、2.7.4.2.1.2.4)(承認時評価資料)
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レイボー適正使用ガイド
[略語]
MedDRA = ICH国際医薬用語集
MedDRA/J = ICH国際医薬用語集日本語版
最終更新日: 2021年12月
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