ジプレキサ ® (オランザピン)

添付文書

以下は適正使用情報として、本邦における承認事項(用法・用量、適応、剤形など)以外の情報が含まれる場合がございます。薬剤の使用に際しては、最新の添付文書をご確認ください。

ジプレキサ(オランザピン)錠、ザイディス錠、細粒による治療中の高血糖、糖尿病の発現機序、対処法は?

現時点でジプレキサ治療中の、高血糖発現機序は明確ではありません。高血糖が示唆される症状(口渇、多飲、多尿、頻尿等)がジプレキサ投与中に認められた場合には、血糖値及びその他の臨床的に必要な検査を測定し、糖尿病の有無を診断してください。

発現機序

現時点でジプレキサ治療中の、高血糖発現機序は明確ではありません。しかし、非臨床及び臨床では、いくつかの仮説が示されています。

インスリン抵抗性が出現する理由としては、オランザピンそのものによりインスリン抵抗性を生じる可能性、あるいはオランザピン治療下のプロラクチン値の上昇がインスリン抵抗性をもたらす可能性や、セロトニン5-HT1A受容体拮抗作用により膵臓β細胞からのインスリン分泌が減少する可能性のほか、in vitro試験の知見から、オランザピンが膵臓β細胞のアポトーシスを引き起こす可能性や、糖輸送担体に直接的に作用して糖輸送を障害する可能性などが想定されています1-3)

なお、健常人を対象としたいくつかの試験4-6)においてインスリン抵抗性の発現が報告されていますが、一方で、インスリン反応やインスリン感受性に有意な変化は報告されなかったというイーライリリーが実施した前向き試験7,8)もあり、結果は一貫しておりません。また、ジプレキサを含むいくつかの非定型抗精神病薬服用者では、インスリン抵抗性の指標であるHOMA-IR値が定型抗精神病薬服用者よりも高いことなどから、インスリン抵抗性が耐糖能障害を引き起こす可能性があると考えられています9)

In vitro試験や動物実験の結果の解釈には限界があります。また、臨床試験結果に一貫性が見られないことから、ジプレキサ治療中の高血糖の発現機序を明確に説明することは困難と思われます。


対処法

高血糖が示唆される症状(口渇、多飲、多尿、頻尿等)がジプレキサ投与中に認められた場合には、血糖値及びその他の臨床的に必要な検査を測定し、糖尿病の有無を診断してください。血糖値の測定の必要性及び頻度については、他の臨床検査と同様、患者の臨床状態に応じて決定します。


・糖尿病であると診断された場合あるいは糖尿病の既往歴がある場合は、ジプレキサ投与を中止し、専門医へコンサルトしてください。

・糖尿病と診断されない場合あるいは糖尿病の既往歴がない場合は、ジプレキサ投与を中止する必要はありませんが、血糖値や臨床症状を観察し、慎重に投与する必要があります。


糖尿病は、血糖値(空腹時が望ましい)、電解質、HbA1c値、トリグリセリド値及びコレステロール値などの適切な臨床検査値に基づいた治療が必要です。実際に糖尿病性昏睡あるいは糖尿病性ケトアシドーシスに至った場合には、発現初期の適切な治療が予後を決定するため、直ちにジプレキサの投与を中止し、バイタルサインを確認し、血管を確保し、生理食塩水など、糖を含まない輸液で維持しながら、十分な治療のできる糖尿病専門医のいる医療機関に直ちに搬送する必要があります10)


【参考】

オランザピン経口剤の統合失調症の市販後特別調査における耐糖能変化についての中間解析結果(20033月まで、3,024例)での新規に糖尿病を発現した患者1311)および最終報告(3,753例)での重篤な血糖関連発現812)では、糖尿病・高血糖発症後ほとんどの症例でジプレキサの投与が中止されており、場合に応じてインスリンや血糖降下薬の投与また食事・運動療法が行われています。


また、FDA MedWatch surveillance systemと文献報告を元に、オランザピン経口に関連する糖尿病/高血糖について検討した報告13)では、オランザピン投与中止または減量により78%の患者で血糖値は改善したとされています。



[参考資料]

1) Citrome Leslie. Clin Drug Investig. 2011; 31(7): 455-482.

2) 岡田 俊. 精神神経学雑誌 2008; 110(12): 1209-1218.

3) Ozasa Riwa. Cell Struct Funct. 2013; 38(2): 183-195.

4) Julia Sacher et al. Neuropsychopharmacology. 2008; 33(7):1633-1641.

5) Vidarsdottir Solrun. J Clin Psychiatry. 2010; 71(9): 1205-1211.

6) Teff Karen L. Diabetes. 2013; 62(9): 3232-3240.

7) Margaret O Sowell. J Clin Endocrinol Metab. 2002; 87(6): 2918-2923

8) Thomas A Hardy et al. Diabetes Care. 2007; 30(1): 157-158.

9) Donna A Wirshing et al. Biol Psychiatry. 1998; 44: 778-783.

10) ジプレキサ錠/細粒/ザイディス錠 インタビューフォーム

11) 佐々木 幸哉 他. 臨床精神薬理 2005; 8(7): 1077-1085.

12) 西馬 信一 他. 臨床精神薬理 2008; 11(6): 1107-1124.

13) Koller EA et al. Pharmacotherapy. 2002; 22(7): 841-852.


最終更新日: 2019 M06 17


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