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トルツ ® (イキセキズマブ(遺伝子組換え))
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トルツ(イキセキズマブ)の抗体製剤に免疫グロブリンIgG4を選択した理由は?
IgG4抗体は一般的にFcγ受容体や補体との親和性が低く、イキセキズマブは免疫系を活性化せずに作用することを目的とし、IgG4を選択しました。
[解説]
IgG4はADCC活性やCDC活性などのエフェクター活性が弱く、特に補体活性結合能が低い点が特徴で、中和活性のみを期待する抗体医薬品ではIgG4が選択されます1)。イキセキズマブはIL-17Aに対し活性を中和するヒト化IgG4モノクローナル抗体であり、イキセキズマブのIgG4では、(分子間ジスルフィド結合の切断による)半抗体の形成を防ぐためにいくつかのアミノ酸を置換しています。すなわち、H鎖の227番のSer(セリン)残基をPro(プロリン)に変換、C末端のLys(リシン)が除去されています2) 3)。このアミノ酸置換により、IgG4のミドルヒンジ領域をIgG1様に改変することで抗体が安定化しますが、補体を活性化しないというIgG4本来の能力は維持されます2) 4) 5)。IgG4を選択することは、IgG4が補体結合能が低いことを利点とし、細胞障害活性等の意図しない他の作用をほとんど持たないと考えられています6)。
一般に、IgG4 Fc領域は、CDC活性を有さず、また他のIgGサブクラスよりもADCC活性が弱いため1) 7) 8)、免疫応答を惹起する可能性が低いと考えられています。IgGはFc領域を介してADCC及びCDCを活性化させますが、これらはイキセキズマブの期待される作用ではないため、イキセキズマブのIgGサブクラスにはFcγ受容体及び補体成分への結合能が低いIgG4を選択しました9) 10)。
このように、IgG4抗体は一般的にFcγ受容体11)や補体12)との親和性が低く、イキセキズマブは免疫系を活性化せずに作用することを目的とし、IgG4を選択しました。
参考:
イキセキズマブのFcγ受容体及び補体に対する結合
ヒトFcγ受容体I、IIa、及びIIIa(CD64、CD32a、及びCD16a)並びに補体C1qに対するイキセキズマブの結合を評価した結果、CD64、CD32a、CD16a、及びC1qに対するイキセキズマブの結合は低く、ヒトIgG4と同程度でした。一方、ヒトIgG1はいずれの分子に対しても濃度依存的な結合を示しました。したがって、イキセキズマブがin vivoで抗体依存性及び補体依存性の細胞傷害を引き起こす可能性は低いと考えられました9)。
[引用元]
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石井 明子 他: 薬剤学, 7(1): 4-11, 2014(AIM00297)
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Tham, L. S. et al.: The Journal of Clinical Pharmacology, 54(10): 1117-1124, 2014(AIM00170)
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Salfeld, J. G.: Nature Biotechnology, 25(12): 1369-1372, 2007(AIM00166)
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Rayner, L. E. et al.: The Journal of Biological Chemistry, 289(30): 20740-20756, 2014(AIM00164)
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Canfield, S. M. et al.: The Journal of Experimental Medicine, 173(6): 1483-1491, 1991(AIM00498)
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Brekke, O. H. et al.: Methods in Molecular Biology, 207, 383-391, 2003(AIM00499)
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トルツ申請資料概要CTD2.6.2.2.1.6(承認時評価資料)
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Liu, L. et al.: Journal of Inflammatory Research, 9, 39-50, 2016(AIM00307)
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Bruhns, P. et al.: Blood, 113(16): 3716-3725, 2009(AIM00500)
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Burton, D. R. et al.: Advances in Immunology, 51, 1-84, 1992(AIM00501)
最終更新日: 2022年8月15日
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