トルツ ® (イキセキズマブ(遺伝子組換え))
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手術の前後で、トルツ(イキセキズマブ)を休薬する必要があるか?期間は?
イキセキズマブの投与は手術後の創傷治癒、感染防御に影響がある可能性があります。手術前後のイキセキズマブの休薬について特に定められた期間はありません。
[解説]
【手術前の投与】
英国皮膚科医協会による生物学的製剤治療のガイドラインなどによると、一般的に手術の前には薬剤の半減期の3~5倍の期間をあけることが紹介されています1) 2)。なお、イキセキズマブの半減期は約13日です3)。
米国リウマチ学会及び米国股関節・膝関節外科学会のガイドラインによると、待機的な人工全膝関節置換術(TKA)及び人工股関節置換術(THA)を行う際には、生物学的製剤の投与を中断し、手術は薬物治療のサイクルの最後に施行することが紹介されています。また、生物学的製剤は、創傷治癒障害、手術部位感染、又は全身の感染症が認められない場合、手術から最低2週間以降に再開することが推奨されています4)。
強直性脊椎炎患者を対象とした第III相臨床試験(COAST-V、COAST-W)において、ベースラインの無作為化前8週間以内に本試験で評価対象となる関節の外科手術を受けた患者又は本試験の最初の16週間に本試験で評価対象となる関節の外科手術が必要な患者は除外されていました5)~7)。
日本皮膚科学会の乾癬における生物学的製剤の使用ガイダンス(2022年版)では、再開に関して以下のような情報があります8)。
<手術患者>
生物学的製剤は手術後の創傷治癒、感染防御に影響がある可能性がある。米国のガイドラインでは、エキスパート・オピニオンとして低リスクの手術では治療継続可能としているが、中~高リスクの手術、低リスクでも呼吸器、消化管、尿生殖器系を侵襲する手術では、術前後の休薬を推奨している。術前は薬剤半減期の3~4倍の期間休薬し、術後は問題がなければ1~2週間で再開できるとしている。一方で、欧州のガイドラインでは、TNF阻害薬では術前に薬剤半減期の3~5倍の期間の休薬を推奨しているものの、他の生物学的製剤では個々の症例に合わせて判断すべきとの見解を示している。薬剤の治療間隔、投与量、半減期などを勘案すると、イキセキズマブでは6週間以上の間隔をあけた後に行うのが望ましい。手術後は創傷が治癒し、感染の合併がないことを確認できれば再治療できる。
[引用元]
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Smith, C. H. et al.: The British Journal of Dermatology, 177(3): 628-636, 2017(AIM00716)
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Bakkour, W. et al.: Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology, 30(1): 86-91, 2016(AIM00479)
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Goodman, S. M. et al.: Arthritis Care and Research (Hoboken), 69(8): 1111-1124, 2017(AIM00794)
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トルツ申請資料概要CTD2.7.6.1.1(承認時評価資料)
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トルツ申請資料概要CTD2.7.6.2.1(承認時評価資料)
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トルツ申請資料概要CTD2.7.6.3.1(承認時評価資料)
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日本皮膚科学会乾癬分子標的薬安全性検討委員会: 乾癬における生物学的製剤の使用ガイダンス(2022年版)(最終アクセス日:2022年9月30日)
最終更新日: 2022年10月
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