オルミエント ® (バリシチニブ)
以下は適正使用情報として、本邦における承認事項(用法・用量、適応、剤形など)以外の情報が含まれる場合がございます。薬剤の使用に際しては、製品情報ページにある最新の電子添文をご確認ください。
<効能共通>オルミエント(バリシチニブ)を「腎障害患者」に投与してもよいか?投与する際の注意点(用量調整など)は?
バリシチニブを腎機能障害に投与することはできますが、程度に応じて減量する必要があります。また重度の腎機能障害患者は投与することができません。適応症により基準が異なるので以下を参照してください。
[解説]
※本剤は、国内外の試験成績に基づいて承認されました。このため、一部国内の承認効能又は効果、用法及び用量と異なる成績が含まれています。
<効能共通>
国内外の関節リウマチ患者、アトピー性皮膚炎患者及び円形脱毛症患者を対象とした第Ⅲ相試験では、eGFRが40 mL/分/1.73 m2以上60 mL/分/1.73 m2未満の腎機能障害患者に対しては、バリシチニブ2 mgを1日1回投与しています1)。バリシチニブの主な排泄経路は腎臓であるため、腎機能障害を有する患者ではクリアランスの低下によりバリシチニブの曝露量が増加すると予測されるからです。実際に腎機能障害を有する被験者を対象に薬物動態に及ぼす影響を評価したJADL試験では、バリシチニブの曝露量は腎機能の低下に伴って増加しました1)。
<関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症>
バリシチニブを腎機能障害患者に投与することはできますが、中等度の腎機能障害患者(30≦eGFR<60 mL/分/1.73 m2)に投与する際は、2 mgに減量して投与してください2)。なお、重度腎機能障害患者(eGFR<30 mL/分/1.73 m2)に対してはバリシチニブを投与しないでください2)。
表 1. <用法及び用量に関連する注意>(抜粋)2):関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症
腎機能障害 の程度 |
推算糸球体ろ過量 (eGFR:mL/分/1.73 m2) |
投与量 |
正常又は軽度 |
eGFR≧60 |
4 mgを1日1回投与 |
中等度 |
30≦eGFR<60 |
2 mgを1日1回投与 |
重度 |
eGFR<30 |
投与しない |
なお、発熱、下痢などの体調不良による脱水で急激な腎機能低下が生じる場合がありますので、このような症状がみられる場合は適宜推算糸球体ろ過量(eGFR)を確認するなどご対応ください3,4)。
<新型コロナウイルス感染症:COVID-19>
バリシチニブを腎機能障害患者に投与することはできますが、中等度の腎機能障害患者に投与する際は、2 mgを1日1回経口投与してください2)。関節リウマチ、アトピー性皮膚炎及び円形脱毛症とは異なり、重度の腎機能障害(15≦eGFR<30 mL/分/1.73 m2)がある患者に対して治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合には、下表を参考に投与することができます2)。
表 2. <用法及び用量に関連する注意>(抜粋)2):SARS-CoV-2による肺炎
腎機能障害 |
推算糸球体ろ過量 |
投与量 |
正常又は軽度 |
eGFR≧60 |
4 mgを1日1回投与 |
中等度 |
30≦eGFR<60 |
2 mgを1日1回投与 |
重度 |
15≦eGFR<30 |
2
mgを48時間ごとに
1回投与 |
eGFR<15 |
投与しない |
1. オルミエント 申請資料概要(CTD2.7.6)(承認時評価資料)
4. オルミエント 適正使用ガイド(アトピー性皮膚炎/円形脱毛症)
5. オルミエント 適正使用ガイド(SARS-CoV-2による肺炎)
COVID-19 = SARS-CoV-2による感染症
eGFR = 推算糸球体ろ過量
SARS-CoV-2 = 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2
最終更新日: 2022年5月
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