オルミエント ® (バリシチニブ)
以下は適正使用情報として、本邦における承認事項(用法・用量、適応、剤形など)以外の情報が含まれる場合がございます。薬剤の使用に際しては、製品情報ページにある最新の電子添文をご確認ください。
<効能共通>オルミエント(バリシチニブ)の副作用「脂質代謝異常」の発現状況、発現機序及び発現した場合の対処法は?
脂質代謝異常の発現状況、発現機序及び発現した場合の対処法は以下の通りです。
[解説]
※本剤は、国内外の試験成績に基づいて承認されました。このため、一部国内の承認効能又は効果、用法及び用量と異なる成績が含まれています。
《発現状況》
<関節リウマチ>
脂質異常症に関連する有害事象は、関節リウマチ患者を対象とした長期継続試験を含む国内外臨床試験10試験の併合解析において、バリシチニブが投与された全体集団の20.1%(756/3770例)に発現しました1)。
<アトピー性皮膚炎>
脂質異常症に関連する有害事象は、アトピー性皮膚炎患者を対象とした長期継続試験を含む国内外臨床試験5試験の併合解析【データカットオフ日:2019年7月2日】において、バリシチニブが投与された全体集団の2.2%(36/1646例)に発現しました2)。
<円形脱毛症>
脂質異常症に関連する有害事象は、円形脱毛症患者を対象とした長期投与期間を含む国内外臨床試験2試験の併合解析【データカットオフ日:2021年8月23日(JAHO)、2021年8月30日(JAIR)】において、バリシチニブが投与された全体集団の7.2%(90/1244例)に発現しました2)。
<新型コロナウイルス感染症:COVID-19>
※ACTT-2試験ではCOVID-19の症状及び重症度を考慮し、有害事象についてはDAIDSのグレード3又は4の事象を収集しました。なお、以下に示す結果は臨床検査値異常を含まない有害事象です。
SARS-CoV-2による肺炎患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験(ACTT-2試験)におけるグレード3以上の脂質異常症に関連する有害事象である高トリグリセリド血症の発現割合は、バリシチニブ+レムデシビル併用群で0.2%(1/507例)、プラセボ+レムデシビル投与群で0.0%(0/509例)、血中トリグリセリド増加の発現割合はそれぞれ0.2%(1/507例)、0.4%(2/509例)でした3)。
(参考:ACTT-2試験における有害事象の収集及び評価について)
ACTT-2試験ではCOVID-19の症状及び重症度を考慮し、有害事象についてはグレード3又は4*の事象を収集しました。また、治験薬との関連があると判断されたグレード2*以上の薬剤関連過敏症反応、グレードを問わない静脈血栓塞栓関連事象を収集しました4)。
*Division of AIDS(DAIDS)Table for Grading the Severity of Adult and Pediatric Adverse Eventsを用いて、有害事象及び重篤な有害事象の重症度を評価しました。グレード2~5は以下のとおりです4)。
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グレード2:中等度
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グレード3:高度
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グレード4:生命を脅かす可能性のある事象
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グレード5:有害事象に関連するすべての死亡はグレード5に分類
《発現機序》
<効能共通>
LDLコレステロール、HDLコレステロール及びトリグリセリドの増加などの脂質レベルの変化は、高コレステロール血症及び高トリグリセリド血症を伴うJAK阻害剤の薬理作用と一致しました1,2)。
《対処法》
<効能共通>
脂質異常症自体は無症状であるため、バリシチニブ投与開始後は定期的に脂質検査値を確認してください1,2)。
必要に応じて、日本動脈硬化学会 動脈硬化性疾患予防ガイドラインなどに則り、脂質異常症治療薬を投与してください1,2)。
2. オルミエント 適正使用ガイド(アトピー性皮膚炎/円形脱毛症)
3. 社内資料:オルミエント 照会事項回答(COVID-19)(承認時評価資料)
4. オルミエント 申請資料概要(COVID-19)(CTD2.5.5.1.1)(承認時評価資料)
[略語]
ACTT-2 = Adaptive COVID-19 Treatment Trial 2
COVID-19 = SARS-CoV-2による感染症
HDL = 高比重リポタンパク
JAK = ヤヌスキナーゼ
LDL = 低比重リポタンパク
SARS-CoV-2 = 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2
最終更新日: 2022年5月
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