ヒューマトロープ ® (ソマトロピン(遺伝子組換え))

添付文書

以下は適正使用情報として、本邦における承認事項(用法・用量、適応、剤形など)以外の情報が含まれる場合がございます。薬剤の使用に際しては、最新の添付文書をご確認ください。

脳腫瘍治療後の患者にヒューマトロープ(ソマトロピン)を投与していいか?その場合の注意点、腫瘍再発への影響は?

脳腫瘍(頭蓋咽頭腫、下垂体腺腫、松果体腫等)による成長ホルモン分泌不全性低身長症又は成人成長ホルモン分泌不全症の患者に対し成長ホルモンを投与する場合には、成長ホルモンが細胞増殖作用を有するため、基礎疾患の進行や再発の観察を十分に行い慎重に投与してください。

解説

脳腫瘍(頭蓋咽頭腫、下垂体腺腫、松果体腫等)による成長ホルモン分泌不全性低身長症又は成人成長ホルモン分泌不全症の患者への成長ホルモン投与は慎重投与とされています。

成長ホルモンは細胞増殖作用を有するため、脳腫瘍(頭蓋咽頭腫、下垂体腺腫、松果体腫等)による成長ホルモン分泌不全性低身長症又は成人成長ホルモン分泌不全症の患者に投与した場合、脳腫瘍の進行や脳腫瘍の再発率の上昇の可能性があります1,2

 

成長ホルモン投与と脳腫瘍の再発率の関係については現在も検討が続けられており、以下のような報告があります2

 

<小児患者に対する成長ホルモンの安全性について世界規模での検討を行ったNCGSNational Cooperative Growth Study3-5KIGSKabi International Growth Study6の報告>

成長ホルモン治療により脳腫瘍の再発率が上昇したという結果は得られていません2

 

<成人患者に対して考察した報告7

注意は必要であるが、成長ホルモン治療により脳腫瘍の再発率が上昇するとは証明されていないと述べています2

 

しかしながら、脳腫瘍の再発率は経過観察期間にも影響されること、及び再発の危険性の高い例や重症例では成長ホルモンの投与が行われていない可能性もある8と言われています2

 

2016年に公表されたthe European Society for Paediatric Endocrinology (ESPE)the Growth Hormone Research Society (GRS)、及びthe Pediatric Endocrine Society (PES)によるGH safety workshop position paper 9

小児期の成長ホルモン投与による腫瘍の再発に対する成長ホルモン治療の影響はないと結論されていますが、続発性の腫瘍に対する影響については十分なデータがなく結論が得られていません。

また、成人期の成長ホルモン投与による腫瘍の再発および続発性の腫瘍に対する影響については十分なデータがなく結論が得られていません。

腫瘍治療完了後の成長ホルモン治療の開始までの適切な期間については、十分なデータがなくガイダンスはありません。

したがって、成長ホルモン治療開始については、個々の患者において、腫瘍に関連する因子、治療後経過時間及び成長ホルモン治療開始の重要性等を充分に検討することが推奨されています。

 

なお、一般的に、脳腫瘍の治療後2年間は、自然経過としても再発頻度の高い時期と考えられるため、成長ホルモン治療をみあわせることが望ましいと言われています10

[参考資料]

1. ヒューマトロープ 添付文書 https://www.lillymedical.jp/jp/JA/_Assets/non_public/Humatrope/PDF/HMT_PI.pdf

2. ヒューマトロープ インタビューフォーム https://www.lillymedical.jp/jp/JA/_Assets/non_public/Humatrope/PDF/HMT_IF.pdf

3. Blethen SL et al. SAFETY OF RECOMBINANT DEOXYRIBONUCLEIC ACID-DERIVED GROWTH HORMONE: THE NATIONAL COOPERATIVE GROWTH STUDY EXPERIENCE. The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism 1996; 81:1704-1710

4. Moshang T Jr et al. BRAIN TUMOR RECURRENCE IN CHILDREN TREATED WITH GROWTH HORMONE: THE NATIONAL COOPERATIVE GROWTH STUDY EXPERIENCE . The Journal of Pediatrics 1996; 128 (5 Pt 2):S4-S7. https://www.jpeds.com/article/S0022-3476(96)70002-1/fulltext

5. Wyatt D. LESSONS FROM THE NATIONAL COOPERATIVE GROWTH STUDY . European Journal of Endocrinology 2004; 151:S55-S59 https://eje.bioscientifica.com/view/journals/eje/151/Suppl_1/S55.xml

6. Price DA et al. EFFICACY AND SAFETY OF GROWTH HORMONE TREATMENT IN CHILDREN WITH PRIOR CRANIOPHARYNGIOMA: AN ANALYSIS OF THE PHARMACIA AND UPJOHN INTERNATIONAL GROWTH DATABASE(KIGS) FROM 1988 TO 1996. HORMONE RESEARCH 1998; 49(2):91-97 https://www.karger.com/Article/Abstract/23133

7. Verhelst J et al. LONG-TERM GROWTH HORMONE REPLACEMENT THERAPY IN HYPOPITUITARY ADULTS. Drugs 2002; 62(16):2399-2412 https://link.springer.com/article/10.2165/00003495-200262160-00006

8. 西美和. 成長ホルモン治療とADVERSE EVENTS . 小児科診療 1998; 61(5):1038-1044

9. Allen DB et al. GH safety workshop position paper: a critical appraisal of recombinant human GH therapy in children and adults. European Journal of Endocrinology 2016; 174(2):1-9 https://eje.bioscientifica.com/view/journals/eje/174/2/P1.xml

10. 福田いずみ. GHと腫瘍 内分泌・糖尿病科 2002; 15(Suppl1):302-308

最終更新日: 2020 M04 13


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